みなさん、こんにちは!ふりーでんです。前回は給与に関する基本用語を簡単に解説しましたが、今回は実際に数値例を用いて説明していきます。「前回の記事だけではよくわからなかった…」という方はぜひご覧ください!
↓前回の記事はこちらをご覧ください。
給与に関する基本用語目次
具体例(設定)
企業Aは基本給24万円で固定手当はなし、みなし残業手当はなく、残業時間に応じて残業手当が支払われます。企業Bは固定給は企業Aより高い25万円で、内訳は基本給21.5万円と固定手当3.5万円です。企業Cは基本給22.75万円のほか、みなし残業を導入しており、みなし残業時間30時間に対して5.25万円が毎月支給され、総額28万円が固定給となっています。
企業 | 企業A | 企業B | 企業C |
---|---|---|---|
固定給(基本給+ 固定手当+ みなし残業代) | 240,000円 | 250,000円 | 280,000円 |
基本給 | 240,000円 | 215,000円 | 227,500円 |
固定手当 | - | 35,000円 | - |
みなし残業手当 | - | - | 52,500円 (月間残業30時間分) |
1時間あたりの賃金 (残業1時間あたり の賃金) | 1,500円 (1,875円) | 1,360円 (1,700円) | 1,400円 (1,750円) |
もし企業A~Cの中から就職先を選ぶとなったときにどれを選びますか?一見固定給が一番高い企業Cが最も魅力があるように見えますが、本当にそれでよいのかこれから考えていきましょう。
1.残業手当
ケース1.残業がない場合
残業がない場合はどの企業も固定給がそのまま支払われます。企業Cの場合、みなし残業が導入されているので、残業していなくてもみなし残業手当は満額支給されます。よって、残業がない場合は企業Cが最も高くなります。
企業A | 企業B | 企業C | |
---|---|---|---|
固定給 | 240,000円 | 250,000円 | 280,000円 |
支給額 | 240,000円 | 250,000円 | 280,000円 |
ケース2:月間の残業時間が20時間
残業時間が発生した場合は、企業Aと企業Bでは固定給とは別に残業手当が支給されます。一方、企業Cについてはみなし残業時間の30時間以内に収まっているため、追加の残業手当の支給はありません。
残業時間20時間というのは1日1時間程度の残業です。17時が定時の会社だと毎日18時まで残業するようなイメージです。このくらいの残業がちょうどよいという方も結構多いと思います。このケースで計算すると、下記の表のとおり、企業Bが最も支給額が多くなります。
企業A | 企業B | 企業C | |
---|---|---|---|
固定給 | 240,000円 | 250,000円 | 280,000円 |
残業手当 (残業時間20時間) | 1,875円×20時間= 37,500円 | 1,700円×20時間= 34,000円 | - |
支給額 | 277,500円 | 284,000円 | 280,000円 |
ケース3:月間の残業時間が45時間
次は残業時間45時間のケースで試算します。月間45時間というのは「36協定」というので決まっています。本筋と外れるので詳細は省きますが、「36協定」とは労働基準法36条に基づくもので、その協定で設定できる残業時間が月間45時間・年間360時間までと決まっているので、その協定の上限まで残業した場合を考えていきます。(ちなみに、特別な事情がある場合に限りこの上限を超えて残業を支持することがあります。)
企業Cはみなし残業が導入されていますが、みなし残業を超過した分は残業手当が支給されます。今回だとみなし残業30時間に対して45時間残業しているので、超過した15時間分はみなし残業手当とは別に残業手当が支給されます。月間45時間残業をした場合もケース2と同じように企業Bが最も支給額が多いという結果になりました。また、企業Aの支給額が企業Cの支給額より高くなりました。基本給が高いと単価(1時間あたりの賃金)が高くなるので、残業時間が増えるにつれて基本給が高い企業のほうが支給額が増えていきます。
企業A | 企業B | 企業C | |
---|---|---|---|
固定給 | 240,000円 | 250,000円 | 280,000円 |
残業手当 (残業時間45時間) | 1,875円×45時間= 84,375円 | 1,700円×45時間= 76,500円 | 1,750円×(45-30)時間= 26,250円 |
支給額 | 324,375円 | 326,500円 | 306,250円 |
2.賞与(基本給連動型)
次に、賞与の金額を計算してみます。今回は賞与が基本給の4か月分として算出します。試算するまでもないですが、当然基本給が多い企業Aが最も賞与が多くなります。
企業A | 企業B | 企業C | |
---|---|---|---|
基本給 | 240,000円 | 215,000円 | 227,500円 |
賞与 | 24万円×4か月分= 960,000円 | 21.5万円×4か月分= 860,000円 | 22.75万円×4か月分= 910,000円 |
3.年収ベース
最後に年収ベースでどうなるかを確認します。月間の残業時間が①ない場合、②20時間、③45時間の3パターンで、月給12か月分(残業手当込)+賞与の年収ベースで比較します。
①毎月残業なし
まず、毎月残業がない場合で比較します。残業がない場合は、企業Cが月給ベースでも年収ベースでも最も高くなります。その理由は、残業をしなくてもみなし残業手当が支給されることです。
企業A | 企業B | 企業C | |
---|---|---|---|
月給 | 240,000円 | 250,000円 | 280,000円 |
賞与 | 960,000円 | 860,000円 | 910,000円 |
年収 (月給×12か月分 +賞与) | 3,840,000円 | 3,860,000円 | 4,270,000円 |
②月間の残業時間が20時間
月間の残業時間が20時間の場合はどうでしょうか。月給では企業Bが最も多く、企業Aが最も低いという試算結果になっていましたが、年収ベースだと企業Aが最も高く、企業Bが最も低いという結果になりました。このくらいの残業時間でも、基本給が多い企業のほうが有利に働いていることがわかります。
企業A | 企業B | 企業C | |
---|---|---|---|
月給 | 277,500円 | 284,000円 | 280,000円 |
賞与 | 960,000円 | 860,000円 | 910,000円 |
年収 (月給×12か月分 +賞与) | 4,290,000円 | 4,268,000円 | 4,270,000円 |
③月間の残業時間が45時間
最後に月間の残業時間が45時間の場合を確認します。先ほどの月間の残業時間が20時間の場合と同じで、年収ベースでは企業Aが最も大きくなっており、その差はさらに広がっています。残業手当は基本給に割り増しされた賃金が支給されるので、残業が増えると基本給が多い企業が有利になることがわかります。
企業A | 企業B | 企業C | |
---|---|---|---|
月給 | 324,375円 | 326,500円 | 306,250円 |
賞与 | 960,000円 | 860,000円 | 910,000円 |
年収 (月給×12か月分 +賞与) | 4,852,500円 | 4,778,000円 | 4,585,000円 |
まとめ
今回は具体的な数値例を用いて毎月の給与や年収がどうなるかを確認しました。今回の投稿を読んで、「みなし残業手当がある企業=悪い企業」のように考える方もいるかもしれませんが、そうではありません。私が今回伝えたいことは、就活サイトに記載されている月給(初任給)だけで単純に比較するのは危険ということです。単純に就活サイトの月給をみて「月給が高いからここに入社しよう」と思っても、実際に入社して「月給は高いけど賞与はそんなにもらえないな…」とか「残業は結構多いけど残業手当はそんなに多くないな…」など入社前の印象からは異なる可能性があります。就活サイト等では賞与が基本給〇か月分とまでは書いていないので厳密な比較は難しいですが、給与を軸に企業を選んでいる方はちゃんと調べてから選ぶようにしてください。
・「月給が多い=年収が多い」とは限らない!
・個人的には基本給の多い企業がおすすめ!
以上、参考になれば幸いです。